2010年10月4日月曜日

なんで、ぼくだけ?〜3人それぞれのステロイド反応〜

2010年10月4日(月)
<いま、どこ?>
保育園におむかえにいきます。
「今日はどうだった?」
「たのしかったよ。そんなにかゆくなかったし」
「よかったよね〜」とこたえたものの、みたかんじ、そんなにいいわけでもなさそう。

おふろにはいると、がさがさの皮膚に、ぽつぽつ赤いかさぶたが、全身にひろがっています。
う〜ん。よくなったんだか、わるくなったんだか。
またまた、佐藤健二&深谷元継医師の本をめくってみますが、すっかり迷子になった気分。
膝下のじゅくじゅくは、さらに悪化。
脇の下とおちんちんの裏側は、真っ赤になって、湿疹がでてて、かゆそう。
おまけに、今日は、肘の内側にも赤い発疹が新たに出現。
「一進一退をくりかえすよね」なんて、のん気にいっていられない。

<なんで、ぼくだけ?>
夜、ねるとき、「かゆい〜!!!」と怒り、ぼりぼり体をかきむしりながら、ふっくんが言います。「なんで、ぼくだけ!?」
「そうだよ。アトピーっていわれたの、ふっくんだけ?」とひっくんもききます。
「そんなこと、なかったんだよ。ひっくんも4才くらいのとき、お医者さんに『アトピー体質です』っていわれたんだ」
「でも、薬ぬってなかったじゃん」
「うん。小児科も皮膚科も総合病院もいったんだよ。どこでも、ロコイドぐらいの強さの薬
をワセリンか亜鉛華軟膏でうすめたものだしてくれてたな〜。でも、きみの場合、どれも『べたべたきもちわるい』って、すごく抵抗したんだよ。で、メンソレータムぬると『すーすーしてきもちい〜』ってよろこんでた。おふろあがりには、自分でおかーさんにメンソレータムわたしたり。だから、メンソレータムぬってるあいだに、なんかなおってたんだよね」
「じゃーみっくんは?」
「あの人はね〜。すごかったんだよ。1才になるかならないかのとき、その頃ふっくんが行ってた皮膚科でみてもらったら、みっくんもアトピーっていわれた。その場でステロイドぬってもらった。で、その日のお昼には、全身水疱がでてきたの。もう、すごくかゆがるし、泣くし、でもどう考えても水疱瘡や突発疹ではない。あわてて午後の診察につれていって、「ステロイドの副作用じゃないですか?」ってきいたけど、それには返事がなくて、「とにかく、大学病院にすぐいってください」って紹介状をわたされた。大学病院いったら、すぐになんの薬かわかんないけど点滴されて、「かきむしらないように手をおさえてて」って看護師さんにいわれて。3時間以上、またされた。その間、小児科から皮膚科から、お医者さんたちが、ぞろぞろきたけど、なにも言ってくれなかった。結局、カポジ水痘用発疹症じゃないかって最後にきたおじいさん先生にいわれただけ。『ステロイドつかうとなるんですか?』って聞いたけど、にらまれただけだった」
「で、どーなったの」
「おかあさんは、ネットでもしらべたけど、ステロイドでカポジが発症しやすくなるって書いてる人もいたから、みっくんにはつかわないって決めて、で、皮膚科もかえたんだ」
「それで、あそこやめたのか〜。あそこの先生、女の人で、やさしかったよね」
「うん。そうなんだけどね〜。でね、また1年くらいして、みっくんが、あせもをかきむしってひどいことになったときに、皮膚科に行って、またまたステロイドをだされた。おかあさんも、このただれた皮膚はほっとけないっておもって、ステロイドぬってもらったんだよ。たしか、リドメックス。そしたら、みっくん、また水疱ができた。こんどは口の中までできて、歯茎から血をだらだら出して、熱もだして、たいへんだった。小児科つれてったら、また『大きな病院にすぐ行って』って紹介状書いてもらって、行ったけど、「わからないな〜。ヘルペス性歯肉口内炎か、でも全身にでてるからカポジかな〜」って。「ステロイドぬったら、なったんです。2回目です」って言ってみたけど、また無視されちゃった。でも、あれからは、みっくんにはステロイドはぬってない」
「じゃー、どうしてふっくんだけ!?」ふっくんが、怒ってきます。
「う〜ん。ステロイドこわくないって書いているお医者さんいっぱいいたし、『ステロイドがわるい!』って時期から、『ステロイドを毛嫌いする人はばか!』みたいな時期になってたし」と、私はしどろもどろ。
「それに、ふっくんはステロイドぬると、かゆみがおさまってたんだよね。だから、みっくんは体質的にだめでも、ふっくんは大丈夫とおもっちゃったのかもしれない」
「もう! ぼくも、みっくんみたいに、くすりぬったら、ひどくなってたら、いま、こんなことになってなかったのに!」とふっくんが、怒ります。
「ごめんね。おかあさんが、勉強してなかったんだよ」と答えるほか、ありません。
「おかーさん、足マッサーの時間」と、ひっくんが、ながれをかえました。
「うん、この足マッサーは、いいよ。いまからやってれば、ふっくん、この冬は、しもやけできないかも」なんて、言いながら、『足マッサー』はじめました。
ほんと、ふっくんの痛がり方は、だいぶ、へりました。
ぼりぼりかきむしりながらも、でも、眠っていきました。
今日も、夜中におきて、かきむしる必要がありませんように。

<「情報」リテラシー>
でも、たしかに、みっくんがあんなことになって「医者は、こたえない。にらむけど、無視するだけって、ほんとは、ほんとは、言えないけど、ステロイドのせいじゃないの!?」とあんなに思ったのに、なぜ、ふっくんには、塗り続けたのか…。
いまでも、よくわかりません。
よく考えていなかったのか…。
みっくんが2度めに、総合病院にかつぎこまれたときは、2008年の7月末でした。
その頃は、まだ「ステロイドをすごくこわがるなんて、ヒステリーっぽい」「アトピービジネスのいいカモ」的なコメントを信じていたような気がします。
情報の調べ方も、いまほど熱がはいっていなかったし、あまたある方法で「これ、うさんくさい」とか「これは、この点で信用できる」って判断基準ももちえていませんでした(いまでも、「医者でもないのに、なにを判断基準にしてるんだ!」って叱られちゃいそうですけど、あえて言えば、アトピーに関して読んだ論文と本の数でしょうか…。一般書から、体験談から、専門書、医学雑誌まで、けっこうな数を読みました)。
「情報」とは、こわいですよね。いつも「多数派」「権力者」のほうが、つよい…。
「少数派」やアナーキー、改革派が、「多数派」「権力者」にむかって、すこしでも反対意見や提案をすると、多数派はおおように「ささいなことで、ぎゃーぎゃーうるさいな~」とか「反応がヒステリーなんだよ」とか一言で切ってしまうこと、よくあります。
しかも、その対応が、また、冷静で理性的におもえてしまうこと、おおいです…。
は~。

たしかに、ステロイドについても、ぬってなおっている人は、ブログにもかかないでしょう。
「なおってない」「不満がある」だからこそ、ネットで情報をさらしたり、運動するのだと言われれば、そうかもしれません。でも、そうした人を「ヒステリック」と揶揄する人も、やはり不安なのだろうと思います。
「ステロイド」の恩恵をこうむった皮膚科医も、長年ステロイドを使用してきて、ひきかえすことのできないほど、親しんでしまった人も…。
その不安感こそ、みんなで共有できれば、アトピーをめぐる混乱もおさまるような気がしますが、やはりそれで「おいしい」思いをしているとすれば、そんなこと、共有したくないか…。
ステロイドをコントロールしているという思いも、脱ステロイドがいい!と信じる気持ちも、いまやイデオロギー闘争と化しているような気はします。

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