2010年10月26日火曜日

少数派影響源

2010年10月26日(火)
<つっこんでもらえなかった脱ステ話…>
さて…ここ一ヶ月以上、じつにじつに、私の脳内はアトピーにジャックされ、労力のすべてをここにつぎこんできたような…。
その間、本業は不義理つづき…。ごめんなさい!もう、ブログながながかきません、アトピーの本も、いろんな人のブログよむのも、やめます!とおもうのですが、だめです…書きたいネタがふってくる…。
数少ない読者のみなさん、もし、このブログがまどおになったら「本業復帰かな?」とよろこんでやってください。

で、そのネタです。
偶然、知人にあいました。看護師さんをしています。彼女の息子も、アトピーです。で、話題は自然、アトピーに。
「さいきん、どう? うちのこ、ちょっとよくなったの。膝の裏は、まだちょっと…」彼女は、うれしそうに息子のアトピーがかるくなった様子をおしえてくれました。
そこで、ちらっと悪魔のささやき…。(看護師さんは、脱ステにどんな反応しめすのかな?)
彼女の話が一段落したとき、「よかったね〜。うちのふっくんは、こんどステロイドやめてみたの」といってみました。
無反応でした。表情さえかえなかった。
そして、彼女は「そうそう!」とテンションたかく、あくまで明るくほかの話題にうつりました。

医療業界では、タブーなのでしょうか、この話題。

そういえば、2chに、皮膚科医をなのる人が、「アトピーの息子2人には、いっさいステロイドを使用しなかったが、数年でなおった。だから、ステロイドを処方されても、つかうのは考えてほしい。私は、患者さんたっての希望か、使用しなければ重篤になる可能性以外では、ステロイドはまず処方しない」といった内容のなが〜い投稿をしていました(さがしてみましたが、みつかりません…)。そのときのレスの一つが、「ほんとに、皮膚科医か?だったら、ここじゃなくて、皮膚科医たちに対して声をあげてほしい」という内容のものでした。
「あまりに正論すぎて、それむりです…」と思わず、パソコンの画面にむかってつぶやいてしまったわたし。
業界内批判は、むずかいしです。わたしも職場で、管理職や多数派の意見があきらかにまちがっているとおもっても、根本的な議論はまずできません。仕事つづけたいですし。
わたしも、アトピーについては、ある意味「いちほごしゃ」としてかいているので、気楽です。
職業として書くなら、もうすこし理論武装しないと、いえ、できたとしてもこわいです。
医学業界のヒエラルキーは、かなり強固そうなので。

<少数派の意見は、おくれて承認される!?>
ただし…こんな意見があります。
「少数派と同じ立場を意識的にあるいは公然と採ることは、自分自身が少数派の一員に分類されることを社会的にあるいは心理的に意味する。そのために、その場では影響源の主張を退けたり、意識の上では反対の立場をとり続ける。しかし、本人も知らずに影響を受けているので、時間差を伴って影響効果があらわれる場合が多い」(小坂井敏晶『民族という虚構』東京大学出版、2002年、p.184)
小坂井氏は、影響は多数派から少数派へとながれるとする「常識的発想」に異をとなえます。「真に革命的な思想・価値観は常に社会規範に逆らって伝播してきた。数の上で少数派であるだけでなく、威信にも権力にも欠けていた彼らは、当時の社会から非難や虐待をうけながらその信念を説いてきた」(p.181)と。

「それ、社会問題とか、規範形成の話じゃないですか。医学は科学ですよ」という反論がでるでしょうか。
でも、アトピー問題、ステロイド問題は、十二分に、皮膚科医として、あるいは患者としての規範形成の話であり、社会問題だとおもいます。
たとえば、ステロイド擁護派の医師が、「ステロイドは効く」「こわくない」と論陣をはるとき、その根拠にもちいるのは自らの臨床データです。そもそも、ステロイドは消炎としてつかわれています。入院中に大量投与すれば、一時的に炎症がおさまるのは当然ではないのでしょうか? 「きれいになって退院していく」とかかれた患者さんのその後はどうなのか、追跡調査をしているのでしょうか? しかも、おおくのブロガーや2chに登場する人のように、「通院しなくなった」元ステロイド使用者たちを、彼らはどうとらえているのでしょう(「ぼくのいうことをきかなかった」「かわいそうな」アトピービジネスの餌食とでも、おもわれているかもしれません…ほんとに心配してくれる医者もいるとはおもいますが、そうした人は、たぶんどっかで自らの治療方針に疑問をもつのでは…)。

科学は、疑いから発展します。「おかしい」「ほんとうか」と疑念にかんじたことに対し、仮説をたて、それを実証しようとします。
ステロイド擁護派の医師の最大の問題点を、私は「自説を疑わないこと」にあると考えています。
ステロイド擁護派の医師は、最初にステロイドありきです。
「いや、ステロイド擁護派の医師も、脱ステロイド療法をうたがっているではないか」とかんがえられますか?
たしかに、彼らは脱ステロイド療法をうたがっています。だからといって、自分で脱ステロイドをする被験者をつのり、実証しようなどとは考えません(彼らにしたら、ステロイドが有効なのは自明なのに、する必要もない。そんな危険な「人体実験」は医者の倫理に反するということでしょうか)。脱ステ治療を「外野」からみて、あれこれ自説に都合のいい反証をさがしてくるだけです。まさに、トートロジー的態度ではないでしょうか。

それに比して、深谷元継氏があつめた論文の著者たちや、luxelさんが紹介する論文の著者は、「アトピー性皮膚炎の中には、ステロイドがきかないタイプもあるのでは?」「ステロイドは、消炎剤として万能か」「ステロイドで依存症はおきないのか」といった数々の疑問をいだき、それを追求しようと研究しています。
そして、たしかにきかないタイプを発見したり、ステロイドがきかなくなる症例をみいだしたり、依存症とおもわれる症例を累積記録していきます。
こちらのほうが、ずっと科学的な態度だと私はおもいます。
なお…luxelさんは、ハワイなど、旅行先でも現地のお医者さんにアトピー治療の現状をつっこんできいたりしています。すばらしいです!
世界各地のアトピー治療の現状とか、1カ所にまとまったら、きっとすごくおもしろそうです。医療社会学者とかだったら、やってみたいかも…。(いや、わたし、ちがうし、そもそも、自分の仕事しろって←自分つっこみ)

というわけで…1990年代、いったん活性化し、社会問題にもなった「ステロイド問題」は、2010年のいま、しずかにアトピー当事者たちのなかで情報がやりとりされ、医療関係者間ではタブー視される問題になった感があります。

でも、でも、小坂井氏を信じるならば、少数派の革命的意見は、いつか世界をひっくりかえします。
こりずに、しつこく、「ステロイド、やめました」宣言、身近でつづけていこうとおもいます。
いつか、その人たちが、「わたし、ステロイドをこどもにつかうのは、よくないとおもってたのよ!」なんて、自分が発見した一つの社会問題として声をあげてくれるのを、期待しつつ。

<きょうのふっくん>
きょうは、機嫌がよかったです。
かゆみはあいかわらずのようですが、みためは、ちょっときれいになりました。

しっ、しまった! もう夜中に…。また、ながくなってしまいました…。
かさぶたが、とれました
手が、かゆそう…






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