2010年11月10日水曜日

免疫とステロイド

2010年11月10日(水)
<luxelさんから、メールが!>
きました。これまで、リンクのお作法とかもしらなかった私…。初期には、かってにリンクしていて、知人に「リンクするときは、一言ことわるものじゃないの?」ときかれ、はじめて「リンク許可」のメールをしたのが、以前にも話題にしたluxelさん。(もっとも、ダンくんには「リンク許可なんか、いるわけないやん。みんなにみてもらうのを前提にネットにながしてんだから」とのことですが…。なお、このブログは、リンクフリーです!って、知人以外、よんでませんよね(笑)あっ! でも、このところ海外からもアクセスが!! (サーバー経由してるだけかもしれないですが…)ありがとうございます。ぜひ、それぞれの国・地域のアトピー事情もおしえてください)

<アトピーのでやすいところ>
で、お返事をいただいたのですが、そのなかに
「お子さんの患部の写真を拝見しましたが、ステロイドの影響が大きいように思います。アレルギー活性が高くて起きている自然なアトピーは肘膝屈側や、耳切れ、目のふち、肩周りなどに限定されることがおおいように思うのです」との一文が。
おもわず「そうじゃないですか~~~!!!」と、声をあげてしましました(笑)。
さすがに、着眼点、すばらしいです!!
たしかに、たとえば「究極の医療電子教科書をめざす」マイメドにも、luxelさんが指摘されているところが、アトピーの好発部位としてとりあげられています。
ふっくん…昔はよく耳切れしていましたが、いまはありません。目のふち、きれいです。肩もちょっとかさかさなだけ…。たしかに膝の内側は、発疹がでています。が…いちばん、ひどいのは、足のすね、手の甲、指です。
明確な関連性は、わかりませんが、ふっくんがステロイドをやめてはじめて夜中に絶叫した頃、わたしの手の甲にかゆみを伴う赤い発疹ができていました。(もしかして、ステロイドをふっくんにぬりつづけた私の手も依存症!?)ともおもいましたが、不確かすぎる…と書きませんでした。が…以前、病院でもらった薬をのんだら、手と足にかゆみをともなう発疹がでたことがあります。再受診すると「あ~、これ、薬疹だね。なんかよくわからないんだけど、薬疹はからだの末端、手首や足首より先にではじめる人、おおいいんだよね。とにかく、この薬はやめて、ちがうのにしましょう」と言われたことがあります。もう、なんの薬かも忘れてしまったし、こんないいかげん情報でもうしわけないのですが、でも、ふっくんは、やはり「ステロイド依存症」の気配が濃厚の気がします。
アレルギーについては、私にはよくわかりません。ぜひ、luxelさんのアトピーとアレルギーの関係を参考になさってください。
その他、彼女はブログの読者の方から、アンケートもとられています。おいそがしそうですが、また、アンケートの結果などからわかったことなども、徐々にアップしてくださるとうれしいです。

<ステロイドと免疫の関係>
さてluxelさんは、メールでくわしく免疫機序についてもご説明くださいました。とりあえず、私の理解した範囲で、「お~そうか!」とおもったことを、かんたんにしてみます。
なお、luxelさんの説明でわかんなかったところは、こんな本で補足してみました。
萩原清文『好きになる免疫学』(講談社、2001年)絵がかわいくて、なんだかわかった気分にひたれます!(笑) (でも、でも、説明ちがってたら、ごめんなさい!)

【免疫とステロイド】
①免疫細胞のなかには、「いけいけ派」と「まてまて派」がいる。「ふつう」は、ふたつの力は、おなじくらい。
②しかし、たまたま「いけいけ派」の力がつよくなってしまうと…「いけいけ、どんどん!」かんちがいして、自分まで攻撃! こうなるとアレルギー(この場合、皮膚炎)がおこる。
③だから、ステロイドで「まてまて派」を応援すると、「いけいけ派」がおとなしくなり、いったん炎症はおさまる。
④しかし! ステロイドで「まてまて派」を応援している間に、もともとの自分のからだで「まてまて派」を応援していた機能が、さぼりはじめる。そこで「まてまて派」がおとろえる(あたらしくうまれる数がへったりするのかな?)。
⑤ステロイドをぬるも、からたの中の「まてまて派」がおとろえているため、「いけいけ派」をおさえきれない。

でも、これ、そうだとおもうのです。全部説明がつきます。
たいてい、とくにこどもの頃は、①と②のあいだを、いったりきたりして、すこしずつ、からだが「このバランスがいい!」と気づいて、免疫系をそだてていく。
なのに、ここで“待てない”現代の「きれい大好き」「病気きらい」のわたしたち、あわてて医者につれていきます。そこで、③。「あ~よかった」と一安心。ここで、また①と②にもどる人もいるとおもいます(おそらく、この人たちがステロイド依存が極端にでなかったり、ステロイドをつかってもなおっていく人たち)。でも、③にとどまり④にむかってしまう人も。
ふっくんなんて、たぶん、⑤までいっちゃた人です。
だから、佐藤健二先生なんかは、②の段階でステロイドをつかわずに「たえろ」と主張してるわけでしょう。
④や⑤にいっちゃった人がステロイドやめれば、そりゃー「まてまて派」大パニック! いままで、外から定期的にやってきていた応援隊が、ある日いきなりこない! なんで? どうして? とりあえずがんばらなくちゃ!
というわけで、残留部隊で「いけいけ派」に応戦。でもでも、もともとおとろえている「まてまて派」すぐに、「いけいけ派」にまきかえされる。炎症(戦場!?)拡大。「なんか、まっても来ないよ」「しかたない、自力でかんばるぞ!」でも、たたかないなれていないから、どのあたりまで「まてまて派」を育てておくりだせばいいのか、わからない。そんなことを、くりかえしている段階が、「波」なのかもしれません。
なっ、なんか、われながら、明快! Luxelさん、ありがとう!!
(ちなみに彼女は、内服と外用では、影響のでかたがちがい、おそらく皮膚への影響は外用のほうが大きいはずとおっしゃってました)

<脱線〜「ステロイド=アメリカ」説(笑)>
しかし…なんか、こうしてみるとステロイド、アメリカかよってかんじですね。紛争にくびつっこんで、鎮圧するとみせかけてひっかきまわす…ベトナムも、アフガンも、イラクも…えらいめにあってます…。(たしかに、ステロイド、ぜんぞくにも、リウマチにも、結膜炎にも、あらゆるところに登場!)
うわ〜、じゃー、キューバ的アトピー患者っておおいのかも。
アメリカ軍(ステロイド)の力をかりて、スペイン(自己免疫異常)から独立したのはいいけれど、アメリカに支配されそうになり、ソビエト(プロトピック)に依存。しかし! ソビエト崩壊(プロトピックもいろいろ問題ありそうです。たとえば、安藤直子さんはプロトピックの考察で、発がん性を危惧しています。一方で、深谷元継先生はプロトピックの発がん性はそれほど問題になっていないという文献をしめされています。が…、しかし、ものすごい痛みをうったえる人や、酒さ様皮膚の原因としてとりあげている人も。やはりこれも、依存性があるのではないでしょうか…)により、困窮! 経済的危機におちいるも、人々は徐々に生活をたてなおす
(すみません。この夏キューバにいって、キューバかぶれしています。でも、キューバの人、めちゃくちゃ明るくて、おせっかいで、たのしかった! 老後はキューバに移住したいくらいです)。
とすると!アメリカ支持(ステロイド支持)の皮膚科医は、さしずめバティスタ!?(キューバのバティスタは、イラクのフセインっぽいです。さんざアメリカに支援され、あとではしごをはずされました)

「アトピー=キューバ」説、なんか、私的にはしっくり(爆)。
脱線しまくりですが、キューバといえば、ヤマザキマリ『世界の果てでも漫画描き−キューバ編』(創美社、2010年)、おすすめです! たぶん、時代は、プロトピックじゃないや、ソビエト崩壊直後。なので、めちゃくちゃものがない時期ですが…。キューバの人たち、すてきです!

うん。だんだん、ちょっとぐらいアトピーだっていいじゃん!という気持ちに…。(って、あんたは、ちがうからそんなこといえんのとか、つっこまれそうですが…)
でも…ふっくん、ときどきかゆくてかきこわしてもキズパワーパッドでもはって、乾燥でかゆかったら安心してワセリンでもぬって、ときには、ちょっぴりステロイドもつかってみて(アメリカだって、いいところもいっぱいあるし。うん)、ラテンののりで、のりきってほしい!!

<脱ステ+波>
「波」といえば…脱ステにともなう、経過の悪化と好転のくりかえし…。これ、しらない人がおおいですよね。じつは「あーちゃん」も、この「波」がくることをしらなくて(たぶん10年ぐらい前だから、まだ情報すくないですよね…)「いちいち」一喜一憂したのが、うつの原因だったとおもう…といっています。
おかげで、わたしは、ふっくんに「よくなったり、わるくなったり、くりかえすから。それが、ふつうだから、大丈夫」と言っています。
でも、これをしらない「おかあさん」や本人、たくさんいるとおもいます。Luxelさん、わたしへのメールだけではもったいないです!!
ぜひぜひ、ブログに書いて、みなさんにおしらせください。

<おすすめの目薬>
さて、luxelさん、目薬についても、アドバイスくださいました。彼女のおすすめは、抗アレルギー薬の「パタノール」。
うれしいです! じつは、ふっくんも、ここのところ目がかゆいときは、「パタノール」をつかっています。
が、これ…実は「ふっくん」に処方されたものではありません。
昨年、「ひっくん」のアスペ全開期はチックもひどくて…、目をこすりすぎて、あわや失明の危機!!でした。そのときに、だされた目薬ののこりが何種類か未開封のままとってありました。そのなかに、パタノールもあったので、「これだ!」とおもい…。
ただいま、眼科でまで「ステロイド攻防」をするのは、ちょっと体力的・時間的に…と、手持ちでしのいでいます。また、いつか行って、報告します。

【脱線~無料化問題】
もう、うちは、薬局ぐらい薬であふれています。病院でもらった薬でいっぱいのかごがあります。のみ薬、塗り薬だけでなく、目薬も、クラビットから、フルメトロン、ソフトサンティア、サジテンなどなど。
1ヶ月ほどまえ、ステロイド系の薬はすべて破棄しようと、あらためて、パソコンのとなりに薬のかごをぶちまけ、すべての薬名と成分をしらべて、ゴミ箱いきと、薬かごにもどす作業をしました。パタノールは、そのときのいきのこりです(爆)。
そうそう、このときの眼科は…このまえの「就学時検診のふっくんがお気に入りの眼科医さん」とはまたちがうお医者さんです。彼女は、そういえば、ひっくんの「かゆい」という訴えに対して、フルメトロンではなく、パタノールをだしてくれたんでした…。こんど、ふっくん、つれていこうかしら。
しかし…私がすんでいる地域は、小学6年生まで、医療費が無料になりました。「たすかった~」と、すごくよろこでいたのですが…。なんだか、気のせいか、どこの医者でも薬をたくさんもらうようになった気がします…。
「それ、つかわないかもしれません」といっても、「まー、おかーさんの負担にはならないでしょ。つかいたくなるとき、あるかもしれないし」とか、「ぴーふけさん、いそがしがって、なかなかこないから、1週間分だしとくよ」とか…(抗生剤、1週間分ものみつづけていいん!?)とか。で…、のんでない分、途中でやめた分がわらわら…。
リドメックスやアンテベートも、新品をいくつか捨てました…(これは…つかちに先生に『じゅうぶんな量をぬらないから、ひどくなる!』と叱られるのがいやで、もらっていた面もあります…。断れよ、私…。医療費かさませて、ごめんなさい)
たしかに、小児科のお医者さん営業的に厳しいみたいですが、ただっていうのは、やはり考えもののような気がします。

<おー先生、再訪の件>
についても、はげましてくださいました。
Luxelさんも、ちかくの小児科にかよいつづけ、いまではそのお医者は脱ステ派(!?)に。
(って、ここのお医者さんの調剤薬局さんに話をふったら「そいうえば、最近、ステロイドほとんど処方されませんね」ということだったそうです)
「だから、ぴーふけさんも、おー先生の宗旨替えに協力してあげてください」と…。
たしかに、わたしも、ここでやめては…でも、でも、いまのふっくんをつれていくのは、キケンだ!とも、かんがえ、おもいなやんでいました。
でも、luxelさんのおかげで、決心がつきました。
とりあえず、「こうめさん」に紹介してもらった、遠方の脱ステ医のところにいってきます。そこでとりあえず「ふっくん」が気をとりなおし、なおかつ、皮膚状態がちょっとよくなったら、また、「おー先生」のところに、ぼちぼち、行きます。
「遠方の脱ステ医より、近所のはなせそうなお医者さんの宗旨がえ」をもくろんでの、「おー先生」受診でした。初心貫徹、きながにがんばります。

<医療倫理の課題としてのアトピー>
たいそうなトピック名ですが…このまえのあーちゃんとのチャットから、話題をひとつ。
市野川容孝「医療倫理の歴史社会学的考察」(井上俊ほか編『病と医療の社会学』岩波書店、1996 年)の論文にこんなことが書いてありました。要約すれば
ふつう、医療倫理で問題になるのは、医師と患者の関係です。インフォームドコンセントが重要視されるのも、この関係です。だか、しばしば見落とされるのが、医師と医師の関係、医師と社会関係です。
ということを、歴史的な医者の成り立ちから、「医者の地位の変遷」などとともによみといています。で、この結論が
「専門家内部で意見の対立があるという事実をあまりに見落としがちである。意見を異にする医師たちがプロフェッションとして議論をたたかわせながら一つの結論を出し、かつその課程を外に向かって透明にできるようにすることも、今日の医療倫理の重要な課題として認識されなければならない」(p.24f.)というもの。
まさに、まさに、アトピー、いやステロイドをめぐる医療業界の話、そのままです。マスコミも、いや医者たちですら「ステロイド論争」に決着をつけないまま、佐藤先生や深谷先生たちステロイドの継続使用を危険視する医者たちの存在を黙殺しようとしている…。
医療倫理的に、この状態、どーなんですかと、問いただしたい。
(もっとも、この論文集の中の何人もの論者が「医療業界の閉鎖性」を指摘しています。だから、現状はある意味「当然の帰結」なのかもしれませんが)

たしかに、アトピーは「死にいたる病」ではありません。だから、社会問題化されないのか…(1990年代後半のステロイド裁判の影響も、いまやうすれています)。
しかし…「死にいたる病」ではないかもしれませんが、「死のひきがねをひく病」ではあるとおもうのです。
あーちゃんは「思春期のとき、うつのとき、よく死ななかったものだ」と言っています。『アトピーの女王』の雨宮処凜さんも、そう書いています。もっと、もっと、たくさんの人が、自分の外見になやんでいるとおもいます。
「人は見た目じゃない。だから大丈夫」なんて言葉、いまの社会では、そらぞらしすぎる…。もう一度、アトピーとステロイド問題、社会的にマスコミでもとりあげてほしいと切にねがっています。

*むろん、「人は見た目」といいたいわけでは、ありません。ただ…「うまれもったアザ」などとはちがって(むろん、ユニークフェイスの人たちは、それぞれまた、かかえる葛藤があるわけですが)、アトピーは状態が変化しやすいです。しかも、ステロイドによって赤黒くひかってしまったり、しろくおちついたり…。「どの状態をうけいれれば、いいのかわからない」「どの状態を、『ふだん』の自分としてうけいれていいのか、きめがたい」こんなところが、もっとも思春期なんかにつらいのではないかとおもうのです。(わたしは、「あきらめる」というのは、生きていくうえで重要だとおもっています。だからこそ、「あきらめきれない」状態をずるずるひっぱる要素は、酷だとおもうのです)
そして、その激変する要素が、わたしはステロイドにあるとおもっています。
(むろん、これまでステロイドをつかいつづけてきて、脱ステした方の場合は、また状況はことなるとおもいますが)
だからこそ、ベリーストロングのステロイドを、指の関節一本分ぬれば、薬のチューブは3日でなくなるはず。つかいかたがすくない! 医者がやめろというまで、かってにやめるな! なんて主張する医者にたいして、怒りをかんじます。

なお…ユニークフェイスについては
西倉実季『顔にあざのある女性たちー「問題経験の語り」の社会学』生活書院、2009年
石井政之『肉体不平等ーひとはなぜ美しくなりたいのか?』平凡社、2003年
など、いろいろかんがえさせられます。石井さんのほうが、内容が平易かもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿